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クラウドファンディングで映画をつくる!
心揺さぶる社会派ドキュメンタリーに挑戦

特集画像:平林 健一 Kenichi HIRABAYASHI

近年、本業のかたわら、社会貢献にも力を注いでいるEnjin。時期を同じくして、映像部門の有志メンバーが、社会派ドキュメンタリー映画を制作するプロジェクトを立ち上げました。クラウドファンディングで資金を集め、クリエイターとしてさらなる高みを目指す彼らの挑戦とは? 映像ディレクターの平林健一が、思いの丈を語ります。

平林 健一 Kenichi HIRABAYASHI
1987年、青森県生まれ。多摩美術大学映像演劇学科卒業後、Enjinに入社。映像ディレクターとして、経営者インタビュー番組「KENJA GLOBAL」などを手がける。現在は、チーフディレクターとして映像部門を統括。

特集画像:平林 健一 Kenichi HIRABAYASHI

表現者として成長したい。引退馬の映画制作を決意
――Enjinの映像チームを束ねる平林さんが、なぜドキュメンタリー映画の制作を始めたのでしょう?

入社して4年。Enjinの映像ディレクターとして密度の濃い毎日を送る一方で、「このままでいいのか?」と危機感を感じていました。言ってみればそれは、インハウスディレクターとして媒体表現は上達しているのだけど、一人の映像ディレクターとしては大して成長していないんじゃないか?という感覚。そこで社内で有志を募り、業務以外の映像作品をつくることを目的にした映像同好会を発足させました。今までにない挑戦をすることで、自分たちの限界の壁を突き破れないかと考えたんですね。

作品テーマに選んだのは、競争馬を引退したサラブレッド。集まったメンバーでアイデアを出し合い、多数決で決めました。実を言うと父の影響もあって、僕は子どものころから大の競馬好きなんです。ところがその一方で、多くの引退馬が競馬以外のキャリアの少なさから、若くして命を落とすことが多いという現実に、ずっとやりきれなさを感じていました。心の奥に封印していたこの問題に、今こそしっかり向き合ってみよう。人と馬の共生を考える映画「今日もどこかで馬は生まれる」は、こうして産声を上げました。 

特集画像:クラウドファンディング

170万円の高き壁を突破するために
――制作資金を集めるために、クラウドファンディングを利用した理由は?

会社のサークル活動ではあるものの、当然のことながら、制作資金は自分たちで集めなくてはなりません。複数のクラウドファンディングを検討した結果、「CAMPFIRE」で資金を募ることに決めました。目標額は170万円。でも、勝算はまったくありませんでしたね。自分は有名な監督でもないし、競馬業界の人間でもない。苦戦するのは目に見えていたので、準備期間を長めに確保し、試行錯誤を始めました。

最も力を入れたのは、このテーマに興味をもってくれそうな方々の元に足を運び、地道に関係を築くこと。支援狙いというよりも、「こういう映画を世に出したいのですが、どう思いますか?」と問いかけ、率直な意見をいただくことに重きを置きました。クラウドファンディングでは210名もの方が出資してくださいましたが、そのほとんどが、ここでの出会いから派生したものです。

また、出資金を募った36日間は、4コマ漫画やSNSをメンバー持ち回りで更新するほか、「今日は●●さんに会ってきました」と、活動報告を毎日アップしました。こうしたこまめな発信によって、僕たちの本気度がみなさんに伝わったのでしょう。最終的に、達成率158%となる約270万円を集めることができました。

 

「見ず知らずの人からの支援」というプレッシャー
――36日間で約270万円! すごいですね。

思いがけない結果になりましたが、実は途中、表現しがたい心境に襲われた時期がありました。支援が入るたびに舞い上がっていた初期が過ぎ、支援額が100万円に達したあたりから、じわじわと不安が押し寄せてきたんです。「映画を完成できなかったらどうしよう」「こんな中途半端な気持ちでは、みんなの期待に応えられない」と、一度は支援状況の通知メールを切ってしまったほど。そのとき、見ず知らずの方からお金をいただくことの重みを、初めて実感しました。

その後、「ここまで来たらやるしかないんだ」と、気持ちが吹っ切れ、目標額にも達して、いよいよ映画制作がスタートしました。実を言うと、馬主や調教師、生産牧場で働く方など、出演者のみなさんからは初め、僕が競馬業界を批判的に描くつもりではないかと警戒されたんですね。そのたびに、自分が競馬を心から愛していること、だからこそ、この問題と真摯に向き合いたいということを繰り返しお話ししました。気がつけば、「●●さんに会ってみる?」と向こうからキーパーソンを紹介してくれるようになり、当初6つを予定していた撮影シーンが倍に増えるほど、多くの方々に協力していただきました。

 

特集画像:平林 健一 Kenichi HIRABAYASHI

人が人を呼び、「思いの種」が大きく育つ
――2019年3月の完成を目指して、編集作業は佳境に入っているそうですね。未知の世界に飛び込んだ今、映像ディレクターとして何を感じていますか?

今回取材を進める中で、出会いが新たな出会いを呼び、企画が大きく育っていくという「うねり」を体感することができました。これは会社の看板を下ろし、裸の状態で情熱をぶつけたからこそ得られたものだと感じています。「映像ディレクターとして成長が止まってしまうのではないか」という不安は、もうありません。それよりもかつての自分と同じ思いを抱えている人がいたら、ぜひ平常業務から一歩踏み出すチャレンジをしてほしいですね。

機材やスタジオの無償貸与をはじめ、映画制作にあたっては、Enjinに全面的にバックアップしてもらいました。社外での挑戦を黙って後押ししてくれた会社に、懐の大きさを感じていますし、実は弊社代表をはじめ数名の社員からは出資していただいています。出演者、出資者、このテーマに関心をもつ人たち、会社の応援体制…。あらためて今回の作品は、本当に多くの人たちの思いが結晶した賜物だと痛感しています。僕自身、どんな作品に仕上がるか、今からワクワクしています。完成後は上映会も予定しているので、ぜひ楽しみにお待ちください!

※上映会のお知らせは、以下のページからご覧いただくことができます。映画が完成する2019年3月ごろに、情報を更新します。
https://camp-fire.jp/projects/view/68984

(2018年10月)

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