企業ブランディングは業種・規模を問わず重要!目的・メリット・手法・成功事例を解説

2022.12.13 広報ノウハウ

近年、売上向上やリピーター獲得などの目的で、企業ブランディングに取り組む企業が増えています。しかし、施策の規模が大きいだけに、漠然としたイメージしかわかない人もいるのではないでしょうか。

この記事では、企業ブランディングとは何か、目的、メリット、企業ブランディングに活用できるフレームワーク、企業の成功事例を紹介します。自社の企業ブランディングの参考にしてください。

企業ブランディングとは?

企業ブランディングとは、自社の理念や価値を発信し、顧客や株主、社会などに認識してもらう活動全般です。発信する内容には、競合他社と異なる独自の価値が含まれます。

 

そもそもブランドとは、自社や自社商品を識別できるシンボル、デザインです。つまり、人間で言えば個性にあたる要素が、企業ブランディングには欠かせません。したがって、商品の性能や価格の訴求だけでは、企業ブランディングにならないケースがほとんどです。

 

企業ブランディングと製品ブランディングの違い

企業ブランディングと製品ブランディングは、ブランディングする範囲が違います。

 

企業ブランディングは、自社の理念や価値観、伝統、市場での強みなどを総合的に含みます。一方、製品ブランディングは、製品のデザイン、ロゴ、キャッチコピーなど、特定の製品に限定されます。

 

したがって、製品ブランディングは複数存在することもありますが、企業ブランディングは1社に一つしかありません。

 

企業ブランディングとインナーブランディングの違い

企業ブランディングとインナーブランディングの違いは、自社の価値を発信する方向です。

 

企業ブランディングは、顧客や株主、取引先、債権者など利害関係がある相手を指すステークホルダーに向けて行います。基本的には自社の外に向けて発信するため、アウターブランディングと呼ばれることもあります。

 

一方、インナーブランディングは、ブランドコンセプトを従業員に浸透させる社内向けの施策です。

 

企業ブランディングに含むべき要素

ここでは、企業ブランディングに含むべき要素を、3つに分けて紹介します。

 

企業ブランディングに必要な4つの価値

企業ブランディングには、顧客が求める次の4つの価値を含めます。

 

1、実利価値

品質、価格、操作のしやすさなど、顧客の利益になる価値

 

2、感性価値

デザインやイメージなど、顧客が感じる無形の価値

 

3、情緒価値

商品を入手、利用すると得られるポジティブな感情

 

4、共鳴価値

商品を入手、利用すると感じる自己表現や社会実現の感情(たとえばフロンティアスピリッツ、地球環境保護など)

 

この4つの価値は、企業の価値を世の中に広めていくために不可欠な要素です。

 

ステークホルダーが共感できる企業像

企業ブランディングは、ステークホルダーが望む要素を含むことが重要です。仮に自社が望む企業ブランディングをしても、顧客ニーズとあっていなければ売上は伸びません。株主や融資者の意向と違っていれば、資金調達が難しくなるケースもあるでしょう。

 

このようになってしまえば、企業ブランディングは頓挫してしまいます。ステークホルダーに賛同されるものであってこそ、企業ブランディングを推進していけます。

 

従業員が愛着を持てる企業像

従業員がプライドややりがいを持てる価値を含むことも大切です。企業ブランディングを担うのは従業員であるため、コンセプトが内部に浸透しなければ一貫した活動はできません。

 

このため従業員の意見も取り入れつつ、企業ブランディングの方向性を決めていくのもよいでしょう。

 

企業ブランディングの目的

企業はどのような目的で企業ブランディングに取り組んでいるのでしょうか。企業ブランディングは長期的な施策となるため、目的を明確にしておくことも重要です。

 

独自の企業価値を提供するため

企業ブランディングは、「〇〇といえばこの企業」と思ってもらえる独自の企業価値を提供するために行います。独自の立ち位置を築ければ、価格競争に陥るリスクが少なくなり、競合他社の影響も受けにくくなるからです。また、既存顧客を定着させて経営を安定化するためにも、企業ブランディングは効果的です。

 

競合他社との差別化を図るため

現在はインターネットの普及で情報過多の状態にあり、類似商品に乗り換えやすくなりました。また、「どの商品もサービスも似ている」と見えてしまうコモディティ化のスピードも速くなっています。

 

したがって、競合他社と差別化を図り、競争力を持つために企業ブランディングが重要です。企業ブランディングでは「モノ」だけでなく、顧客が得る特別感、所有感などの「コト」で差別化を図れるため、差別化のための自由度は販促施策よりも上がります。

 

企業活動の軸を作るため

一貫した企業活動をするためには、その旗印となるブランド価値を明確にしなければなりません。企業ブランディングはブランド価値を発見したり、見直したりするよい機会になります。

 

企業ブランディングが進むと、広告や接客、新製品の開発などに一貫性が出るため、提供する商品やサービスの質が上がります。



企業ブランディングのメリット

企業ブランディングを行うと、売上向上や顧客獲得などの経営的なメリットに加え、自社内にもよい影響が出ます。

 

リピーター・ファンを獲得しやすくなる

企業ブランディングは、企業と顧客を愛着や信頼などで結び付ける効果があります。そのため、企業ブランディングが成功すると、顧客は自ら自社商品を求めて長期間購入するようになります。価格や商品のスペックなどと違って、乗り換えのための比較検討が起きにくく、リピーターやファンが定着しやすくなります。

 

売上が向上する

企業ブランディングのイメージは、キャンペーン広告などと違い、顧客の記憶に刷り込まれていることが特徴です。あるカテゴリーの商品が欲しいときには、自動的に自社をイメージしてもらえます。

 

この効果は既存顧客だけでなく潜在顧客にも及びます。そして、ブランドに対する信頼、安心感もすでにできていることから、売上につながりやすいこともポイントです。

 

融資・協力を受けやすくなる

ブランドに対する信頼、安心感から金融機関や投資会社から資金調達しやすくなる傾向があります。近年では企業ブランディングの一環としてSDGsや健康経営に取り組み、融資を受けようとする企業も増えてきました。

 

また、他社から協業を持ちかけられるチャンスも広がります。たとえば異業種のコラボ商品の成功事例はたびたび目にしますが、他社にとって魅力的なブランド価値があれば、こうした機会も得られます。

 

従業員のモチベーションが上がる

従業員が共感できる企業ブランディングを行うことで、自社全体のモチベーションが高まります。その理由は、事業活動に誇りややりがいを持てるうえ、顧客や社会からの認知度や好感度が高まるケースが多いからです。

 

また、企業ブランディングによって、従業員が自分の役割を認識しやすくなる効果も期待できます。たとえば、トラブル時の対応で何を一番優先するべきか、企業ブランディングに即して判断しやすくなります。

 

企業の採用活動が有利になる

企業ブランディングによって企業イメージがよくなると、就職希望者も増え、優秀な人材を確保しやすくなります。また、企業の理念や価値観を発信しているため、採用のミスマッチも未然に防げるでしょう。

 

多くの就活者は社会的な信頼や知名度の高さ、社風などを企業選びの基準としており、企業ブランディングは採用活動に大きな影響を与えます。

 

企業ブランディングに活用できる手法・フレームワーク

ここでは、企業ブランディングに活用できる手法・フレームワークとして、以下の3つの分析方法を紹介します。

 

3C分析

3C分析とは、自社(Company)、競合他社(Competitor)、顧客(Customer)の3つの要素で自社の強みや弱みを分析するフレームワークです。

 

3C分析では自社目線に偏らないように、「顧客→競合他社→自社」の順番で分析します。これによって現実的に達成可能で、バランスのよい企業ブランディングを企画できます。

 

PEST分析

PEST分析は自社を取り巻く外部要因を分析する手法です。政治的要因(Politics)、経済的要因(Economy)、社会的要因(Society)、技術的要因(Technology)の4つに分けることで、漏れ、抜け、ダブりをなくしながら分析できます。

 

PEST分析ではマクロ要因を多く含むため、中長期的な外部環境にあわせた企業ブランディングを検討する際に役立ちます。

 

SWOT分析

SWOT分析は、内部要因である強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部要因である機会(Opportunity)と脅威(Threat)を掛け合わせて戦略分析する手法です。内部要因は自社でコントロール可能な要素、外部要因はコントロール不能な要素に分類して、それぞれプラス、マイナスの両面を洗い出すのがポイントです。

 

その後、2×2=4通りで戦略を検討します。たとえば「強み×機会」なら攻めの企業ブランディングを企画できるでしょう。

 

企業ブランディングの成功事例

ここでは、企業ブランディングの成功事例を3つ紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

企業ブランディング事例1|株式会社タニタ

株式会社タニタは、体重計など計測器の大手メーカーです。2012年オープンの「丸の内タニタ食堂」が話題になりました。「体脂肪計タニタの社員食堂」のレシピ本は、2016年3月時点でシリーズ累計発行部数542万部を突破し、同レシピ本を題材にした映画が2013年に公開されるほどでした。

 

株式会社タニタの企業ブランディングの成功要因は、物事を行うときはまず身近なことから始めるという意味の「隗より始めよ」を実践し、健康総合企業としての信頼性を高めたことです。

 

企業ブランディング事例2|医療法人社団明萌会大塚クリニック

大塚クリニックは、1983年開業の心療内科を専門分野とする病院です。名誉院長の大塚明彦先生が『その痛みは「うつ病」かもしれません』という書籍を発刊したところ、1か月で重版が決定、精神病患者の方やその家族、医療従事者からも反響がありました。

 

この企業ブランディングの成功要因は、大手新聞への計4回もの広告出稿でした。企業ブランディングは、戦略的な情報発信とセットで考えなければならないという好例です。

 

企業ブランディング事例3|石川鋳造株式会社

石川鋳造株式会社は、あらゆる鋳物部品の製造している企業です。2017年に「おもいのフライパン」を発売したところ、SNSやテレビ番組で取り上げられて人気を博したものの、次の一手を考える必要がありました。

 

そこで2019年から、メディア関係者と企業をつなぐ「メディチョク」を導入し、ウェブや雑誌などで自社情報を数多く発信します。その結果、マスコミの掲載経歴で信頼度が上がり、売上向上につながりました。

 

このケースの成功要因は、メディアとの接点を自ら確保して企業ブランディングを図ったことです。

 

まとめ

企業ブランディングによって独自の企業価値を示し、差別化を図る企業が増えています。競争が激化し商品のコモディティ化も進む中、企業ブランディングはますます重要になっていくでしょう。

 

プラットフォームサービス「メディチョク」を活用すれば、低コストでメディアに直接アプローチできる機会を増やせます。また、16年間のノウハウで培ったメディア企画力と、広告換算価値による広報成果の可視化で企業ブランディングを支援します。

 

「メディアとの接点がない」「広報に力を入れたいがノウハウ、予算がない」などの課題をお持ちの場合は、ぜひご利用ください。