インナーブランディングとは?重要な理由やメリット・注意点など徹底解説

2022.12.13 広報ノウハウ

インナーブランディングとは、企業理念やブランド価値を社内に浸透させる施策の一つです。企業の安定的な成長や従業員のモチベーションアップには、インナーブランディングが欠かせません。このインナーブランディングは、社外へのブランディング前に実施される必要があります。

この記事では、インナーブランディングが重要な理由やメリット、注意点を解説します。社内の企業ブランド向上を目指すためにも、ぜひ参考にしてください。

インナーブランディングとは

一般的にブランディングは、顧客をはじめとした社外に対し、商品やサービスを認知してもらう施策のことです。この社外施策は、従業員が企業にもつイメージアップに効果があります。

 

一方で、インナーブランディングとは、自社の企業理念やブランド価値などを、従業員に十分に根付かせるための活動です。別名「インターナルブランディング」とも呼ばれます。

 

インナーブランディングを行う目的

企業理念やブランド価値を従業員と共有することが、インナーブランディングを実施する目的です。

 

従業員同士で共通の認識ができれば、企業活動を安定的に進められるだけでなく、従業員自らが自信をもって顧客に自社の魅力をアピールできます。

 

また従業員の生産性向上や離職率の低下、最終的には会社の利益にも役立ちます。

 

インナーブランディングとアウターブランディングの違い

アウターブランディングとは、商品やサービスに関して、社外(顧客)に広告や販促イベントなど実施する直接的な活動全般のことです。

 

アウターブランディングを効果的に実行できれば、短期的な収益に直結します。そしてアウターブランディングを成功させるにはまず、企業理念やブランド価値を従業員が認識し、ブランドに一貫性をもたせることが重要です。

 

アウターブランディングが成功するか否かは、最初にインナーブランディングを適切に実施できるかが前提とされています。

 

インナーブランディングのメリット

インナーブランディングを実行すると、自社にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的な6つのメリットを紹介します。

 

企業に対する理解の促進

インナーブランディングを実施すれば、企業理念や自社の根底にある価値観などの理解を深められます。

 

特に自社に入社したての新入社員は、企業理念やブランド価値を十分に認識できていないことが多々あります。また長年働いているベテラン社員でも、自社の価値観に関して間違った認識をもっているかもしれません。

 

その点インナーブランディングは、従業員全員が一丸となって、改めて価値を共有できるメリットがあります。

 

企業活動の安定化

インナーブランディングの実施によって、企業理念やブランド価値に対する認識を、全従業員と共有することが可能です。企業のブランドコンセプトが明確になれば、企業の方向性が統一され、安定的な活動が期待できます。

 

自社を十分に理解できれば、商品やサービスの魅力を心からの言葉で顧客に伝えることが可能です。

 

また結束の固い組織編成が期待でき、SNSでの不適切な発言や個人情報の漏洩など、コンプライアンスリスクの軽減にもつながります。

 

パフォーマンスの向上

インナーブランディングによって企業の方向性が明確になり、従業員も同じ理念をもって仕事に取り組めるようになれば、従業員同士での連携も取りやすくなります。

 

たとえば企業のビジョンが従業員で共有されていると、優先すべきタスクを各自が理解でき、力をあわせて仕事に取り組みやすくなるでしょう。

 

また、自社で継続的に企業理念や価値観などを学ぶ場を設けられれば、従業員の主体的な行動を促し、企業全体のパフォーマンス向上に役立ちます。

 

愛社精神やエンゲージメントの向上

会社の方針とは異なる考えをもつ従業員にとっても、インナーブランディングは効果的です。企業がインナーブランディングを理解して実行できれば、従業員の不満解消やエンゲージメントを向上させられます。エンゲージメントとは、自社や仕事に貢献したいという自発的な意欲です。

 

そしてこのエンゲージメントは、愛社精神の向上にも寄与します。愛社精神とは、自分が働いている企業を愛し、仕事に誇りをもっている状態で、エンゲージメントと密接なつながりがあります。

 

人材の定着・確保

先述した愛社精神やエンゲージメントの向上は、人材の定着や確保にも寄与します。

 

たとえば既存の従業員に向けてインナーブランディングを実施すると、従業員満足度を高めて不満軽減や人材の流出を防ぐうえで効果的です。

 

従業員の離職率が下がれば、採用コストが削減されるだけでなく、従業員教育の体制が整い、長期的によい影響を企業にもたらします。

 

また採用段階で入社希望者に企業理念や価値などを正確に伝えられれば、社風にマッチする人材を採用しやすくなるでしょう。

 

魅力的な企業情報の発信

インナーブランディングをとおし、従業員自身が自社への理解を深めることは、アウターブランディングの際の魅力的な情報発信にもつながると期待できます。

 

企業の魅力が構成される要素は一般的に、人や会社、商品などです。そしてその魅力は企業の内面から湧き起こり、結果として外部にも認知されます。

 

自社と異なる目線や個人の思いがこもった情報発信ができるようになれば、商品やサービスの価値、従業員の熱意などが社外にも伝わりやすくなるでしょう。

 

インナーブランディングの手順

インナーブランディングの手順は以下のとおりです。

 

1、企業理念や目標などの明確化

2、ブランドコンセプトの作成

3、現在の浸透度を計測し課題を抽出

4、インナーブランディングの戦略立案

5、インナーブランディングの施策実行(定期的な研修・ワークショップなど)

6、施策効果の測定

 

インナーブランディングはブランドコンセプトを軸に進められ、企業の成長や社会状況などに応じて変化します。

 

インナーブランディングにおける5つの手法

インナーブランディングにはさまざまな手法があります。ここでは主な手法を具体的に紹介します。

 

1.クレドカードを用いる手法

クレドカードとは、ブランドコンセプトや企業理念を記載した名刺サイズのカードを指します。クレドとはラテン語で「信条」を意味する言葉です。

 

クレドカードは全従業員に配布し、社員証と一緒に携帯してもらいましょう。「いつも持ち歩きたい」「読み返したい」と思えるような、魅力的なデザインや内容であることもポイントです。日々の行動で意識できれば、企業ビジョンや経営理念などの浸透度を高められます。

 

2.ポスターなどの掲示物を用いる手法

オリジナルのポスターを作成し、社内に貼って企業について周知し、愛着をもってもらう手法です。

 

たとえば従業員の興味関心を引くため、有名なデザイナーや漫画家などにポスター作成を依頼したり、話題のキャラクターを載せたりするケースもあります。

 

ポスターデザインの作成に多くのコストを割けない場合は、企業理念や事業部ごとの目標やスローガンを張り出すだけでも、企業の価値観を考えるきっかけづくりや、従業員の自発性を促すことにつながります。

 

3.本や動画など制作物を用いる手法

ポスターだけでなく、自社に関する本や動画を制作し、企業の理念や歴史などを周知する手法も有効です。手作り感を出すことで、会社への愛着につながる可能性があります。

 

また自社での作成が難しい場合、外部委託も可能です。従業員の関心を最も引きやすい方法を選ぶとよいでしょう。

 

そのほか、社内報を使う方法もあります。その際はオープン社内報とすると、株主や取引先など企業の利害関係者である、ステークホルダーへのアピールにもなります。

 

4.社内専用サイトやSNSを用いる手法

従業員に向けた企業情報を盛り込んだ社内専用サイトを制作し、企業に周知する手法です。

 

社内イベントや福利厚生に関する情報など、従業員にとって有益な内容を掲載すると、閲覧数をアップさせるうえで効果的です。また会社として伝えたいメッセージを、従業員全員に伝えられます。

 

また社内専用サイトだけでなく、社内専用SNSやアプリを利用するのもよいでしょう。社内SNSをとおし、従業員同士の意見交換や、やりとりができる環境をもつことは、社内の情報交換やコミュニケーションの活発化にも有益です。

 

5.ワークショップや研修を用いる手法

ワークショップとは、従業員同士で特定のテーマに関する意見を出し合ったり、共通の体験をしたりする、主体性を重視した体験型の場です。

 

インナーブランディングを目的としたワークショップや研修においても、ブランドコンセプトを具体的な形や行動に反映させる落とし込みができます。その際、企業のブランドコンセプトを浸透させようと、企業側が従業員に対して一方的に注力することは逆効果です。

 

企業の想いや経験を従業員が共感する場を設けることで、より高い効果が期待できます。従業員がお互いに意見を出し合い、企業についての考えを述べるなど、主体性を重視すれば、理解をさらに深められます。

 

インナーブランディングを行う際に注意するポイント

効果的なインナーブランディングを実施するには、具体的に何を注意すべきなのでしょうか。ここでは最後に、代表的な三つのポイントを紹介します。

 

施策は中長期的に計画する

企業理念やブランドイメージなどは、抽象的な部分が大きいため、従業員によって捉え方に差があります。

 

基本的にインナーブランディングの効果を実感するまでには、一定の時間を要するため、中長期的なスパンでの施策が必要です。計画的に施策が進められないと、時間と労力をかけて実行したインナーブランディングが中途半端な形で終わりかねません。

 

中長期的な取り組みであることを前提に、施策の計画立案や展開、効果測定、改善を重ね、よりよい施策の実現を目指しましょう。

 

強要しないようにする

インナーブランディングとは、あくまで「企業やブランド価値の理解」です。インナーブランディングの浸透に躍起になり、企業の価値観を従業員に押し付けてしまうと、それに共感できない従業員の人材流出につながります。

 

排他的な考え方は、企業やブランド成長の妨げになるケースもあります。企業本位の内容に偏った内容な場合、パワハラ問題となる可能性も否めません。

 

自社のもつ価値観に対し、従業員それぞれに多様な受け止め方があることを認め、企業の考え方を押しつけないよう注意する必要があります。

 

アンケートなどで施策内容をチェックする

インナーブランディングは、実行してそのまま終わるわけではありません。目的にあった施策がなされたか、アンケート調査で定期的に施策の浸透具合をチェックすることが重要です。

 

アンケート内容が複雑だと、アンケートの提出率が下がり、正確に効果測定ができない可能性があります。また集計が大変だと、他業務を圧迫しかねません。アンケートは少ない質問数で答えやすい質問内容とし、従業員が簡単に回答でき、手軽に集計できるアンケート作りが必要です。

 

アンケートを通してインナーブランディングに関する評価やフィードバックを従業員から受けることは、施策の効果判断や改善に役立ちます。

 

まとめ

インナーブランディングとは、社内向けのブランディング活動です。会社と従業員の信頼関係が強化できれば、離職率の低下や優秀な人材の雇用促進など、さまざまなメリットがあります。

 

とはいえ、そもそも自社に最適なブランディングが何なのか、分からないという場合もあるでしょう。「メディチョク」では、人的コストや工数を削減し、成果を可視化しながら、メディアに直接アプローチできるプラットフォームサービスを提供しています。

 

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