医療広告ガイドラインとは?医療機関が広告でできることできないこと

2021.03.05 広報ノウハウ
医療広告ガイドラインとは?医療機関が広告でできることできないこと

医療に従事する方であれば、「医療広告ガイドライン」という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし、「聞いたことはあるけどよく知らない」「結局何ができるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、医療広告ガイドラインを読み解きながら広告規制の中で、できること・できないことをご紹介します。

今回の記事はこちらの資料の中身を一部抜粋し解説を加えたものになります。より、理解度を深めるためにもダウンロードをおすすめします。

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医療業界に潜む医療広告ガイドラインとは?

医療広告ガイドラインとは、2018年6月1日に医療法の改正により厚生労働省から施行された「医療機関の広告に対する規制を示したガイドライン」です。この改正により、『医療機関のウェブサイトが原則規制の対象に』なりました。

これまで、医療法ではウェブサイトについて、原則規制の対象にせず自主的な取り組みを促す程度でした。しかし、美容医療に関する広告についてのトラブルが多発し、消費者委員会から医療機関のウェブサイトに関しても法的規制が必要であるとの要望を受けたため、今回医療広告ガイドラインの施行に至ったようです。

広告規制の背景について、医療広告ガイドラインでは以下のように記載してあります。

“医療機関のウェブサイトについては、原則として、規制対象とせず〔中略〕関係団体等による自主的な取組を促してきた。 しかしながら、美容医療に関する相談件数が増加する中、消費者委員会より、医療機関のウェブサ イトに対する法的規制が必要である旨の建議〔中略〕がなされた。同建議を踏まえ、平成 29 年の 通常国会で成立した医療法等の一部を改正する法律(平成 29 年法律第 57 号)により医療機関のウェ ブサイト等についても、他の広告媒体と同様に規制の対象とし、虚偽又は誇大等の表示を禁止し、是正命令や罰則等の対象とすることとした。”

出典:医療広告ガイドライン_第1 広告規制の趣旨_1 医療法の一部改正について(厚生労働省)

医療広告ガイドラインの対象範囲は?

では、実際に広告規制の対象範囲がどこになるのかを見ていきたいと思います。医療広告ガイドラインでは広告の定義が以下のようにされています。

① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可 能であること(特定性)

出典:医療広告ガイドライン_第2 広告規制の対象範囲_広告の定義(厚生労働省)

つまり、集患やブランディングを目的とした医療機関からの一方的な情報発信が対象となるということです。例えば、ブログ記事などで来院を促すような表記をすることも基本的にはNGになります。また、「これは広告ではありません」と表記した場合でも、直接的に病院名や院長名、住所や電話番号がわかるものであれば、広告とみなされます。

また、今回の医療法の改正により「ウェブサイト」だけではなく、「ブログ」「メルマガ」「パンフレット」なども規制の対象になりました。現時点で広告とみなされないものとしては、学術論文・学術発表、新聞・雑誌等での記事(費用を負担していないもの)、患者自らが体験談を出版物やSNSへ掲載、院内掲示・院内で配布するもの、職員募集に関する求人広告があります。

広告規制の中でできること、できないこと

厳しい規制の中で、医療機関ができること・できないことを知っておくことは大切です。ここでは4つのジャンルに分けて詳しく説明していきます。

– 口コミ・体験談について

できること:患者個人のSNSやウェブページでの口コミ・体験談・感想の発信
できないこと:ウェブサイトやチラシへの口コミや体験談の掲載

あくまで、医療機関からの情報発信に規制がかかっているので、患者個人の投稿であれば問題ありません。ただし、クリニック等のウェブサイトに“患者様の声”として口コミや体験談を載せることはできないので注意してください。

– 雑誌や新聞での掲載について

できること:院内掲示や院内のフリースペース等での紹介
できないこと:雑誌や新聞で掲載されたことの紹介

Webページで『テレビで当院が紹介されました』などを表記することも基本的にNGなので注意してください。また、『当院は〇〇で紹介された治療法と同じ施術を行なっています!』という広告もNGです。院内での紹介は誘引性がないのでOKです。

– バナーの貼り付け

できること:医療機関の名称など特定性があっても広告可能事項に限られているもの
できないこと:バナーデザインが医療広告ガイドラインで認められていないもの

サイトなどに貼り付けるバナーについては、特定性があっても医療広告ガイドラインで広告可能事項に定められている範囲内であれば貼り付けることが可能です。広告可能事項について、医療広告ガイドラインではこのように表記されています。

広告可能な治療の方法等については、正確な情報が提供され、患者やその家族あるいは住民自 身によるその選択を支援する観点から、患者等の情報の受け手側の理解が可能となるように分か りやすい表現を使用したり、その説明を加えることは認められる。 例えば「人工透析」については、診療報酬点数表等にある「人工腎臓」や「血液透析」等との 表現に加え、一般に用いられている「人工透析」の表現も広告可能である。

出典:医療広告ガイドライン_第5 広告可能な事項について_3 広告可能な事項の表現方法について(厚生労働省)

– 院長の挨拶

できること:「休日・夜間でもご来院ください」や「開院○周年」などの挨拶
できないこと:誇大な表現・比較する表現がある挨拶

ウェブサイトが規制の対象になったため、サイトの中にある院長の挨拶も規制の対象になります。院長の挨拶ページに限らず、ウェブサイト全体で誇大な表現や比較する表現がないか注意してください。

意外と知られていない広告可能事項の限定解除とは

医療広告ガイドラインでは、患者が自ら求めて入手する情報については、 適切な情報提供が円滑に行われる必要があるとの考え方から、要件を満たした場合のみ、広告可能事項の限定を解除すると定められています。限定解除の要件は全部で4つです。ただし、3および4については自由診療について情報を提供する場合に限るので注意が必要です。

①医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
②表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

出典:医療広告ガイドライン_第4 広告可能事項の限定解除の要件等_2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件(厚生労働省)

これさえ押さえておけば大丈夫。意識すべき2つのポイント

– 比較広告 / 誇大広告 / 客観的事実を証明できない広告

まず、基本は、この3点に抵触しないように注意することです。比較広告とは、他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告のことです。これはたとえ事実であったとしても、広告として「日本一」「NO1」「最高」等の最上級の表現を使うことはNGとなります。

誇大広告とは、必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認 させる広告のことです。例えば、「知事の許可を取得した病院」などあたかも特別な許可を得たのような表現が該当します。

客観的事実を証明できない広告とは、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、誘引を目的として紹介することです。こちらは、記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められません。

この3点に関しては、細かい表現まで気をつけなければならないため様々な例を知っておく必要があります。

<具体的なNG例>
・〇〇の達人、パイオニア、経験豊かな、名医と評判、最大限
・「開院からわずかではあるが、現在は多くの患者さんが訪れている」
・「本来、インプラント治療を行う医師には、多くの知識と経験が要求されるが、経験の未熟な医師が技術を磨く体制が整っていないのが現状」

– 体験談/術前・術後の写真やイラスト

体験談に関しては、患者個人の主観によるものであり「治療の内容・効果に関する事項」については原則禁止事項です。但し、治療と直接関係しない内容(院内がきれい、アクセスが便利など)は禁止事項に該当せず、禁止事項であっても個人がSNSに掲載する分には広告に該当しないこととなっています。Before/Afterの写真等の掲載をする場合は、治療内容・費用・リスクなどの詳細を記載する必要があります。

今こそ広報活動を

いかがでしたでしょうか。医療広告ガイドラインの施行により、医療機関の集患・ブランディングを目的とした情報発信はますます厳しいものになるかと思います。

そこで、オススメしたいのが広報活動です。広報活動は、メディアなどの第三者を通しての情報発信になるので、医療広告ガイドラインの規制に当てはまりづらいです。メリット・デメリットはありますが、医療広告の規制が厳しくなった今こそ、早めに取り組んでおくことをオススメします。

とはいえ、
「最初の広報活動をどのようにすればいいかわからない」
「広報にかける時間もリソースもない」
「メディアとの繋がりがない」

など、最初の1歩のハードルが高い方が多いのではないでしょうか。

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