PRと広告の違いとは|基本の定義から種類・それぞれのメリットなども解説

2022.12.13 広報ノウハウ

「PR」や「広告」は日常的に使われており、触れたことがある人も多い言葉です。しかし、PRと広告を混同して使っている人も少なくありません。両者は似てはいるものの異なるものです。この記事では、PRと広告の違いについて詳しく解説します。それぞれのメリットなども解説するため、広報業務を担当する場合には参考にしてください。

PRとは

PRとは「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」を略した言葉で、日本語にすると公衆との関係構築となります。マーケティング業界においては、メディアなどの第三者を通じて情報を発信し、企業やブランドの認知度を高めたり、商品の売上向上につなげたりする活動といった意味合いで、使われるケースが多いようです。

 

PRは、ステークホルダーとの関係構築や良好な関係を築き信頼を得るために行われます。客観的な情報を発信してもらい、自社の商品やサービスの認知度拡大、自社イメージの向上、社内外との良好な関係構築などにつなげることを目的としています。

 

広告も情報を発信するという意味では同じです。しかし、PRと広告では情報の発信者が異なるという違いがあります。詳しくは後述するため、そちらを参照ください。

 

日本におけるPRは、1969年に加固三郎氏が次のように定義しています。

 

 「PRとは、公衆の理解と支持を得るために、企業または組織体が、自己の目指す方向と誠意を、あらゆる表現手段を通じて伝え、説得し、また、同時に自己匡正(きょうせい)をはかる、継続的な対話関係である。自己の目指す方向は、公衆の利益に奉仕する精神の上に立っていなければならず、また、現実にそれを実行する活動を伴わなければならない。」

 

※引用:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会

 

広告とは

広告とは、広告費用を支払って伝えたい内容、たとえば商品やサービスなどの詳しい内容を発信することです。広告を掲載する媒体はさまざまで、テレビや新聞、ラジオなどの従来のメディアから、WebサイトやSNSなどのインターネットを利用した各種メディアなどがあります。

 

これらのメディアが設定している広告枠を、広告主が買い取って自社の商品やサービスの情報、自社のメッセージなどを掲載し、宣伝することを広告と呼びます。 

 

PRと広告の種類

PRと広告には、どのような種類があるのでしょうか。ここでは、PRと広告それぞれの種類について詳しく解説します。

 

PRの種類

企業がPRを行う際に活用する発信メディアにはさまざまな種類があります。たとえば、新聞やテレビ、雑誌、ラジオなどのようなマスメディアです。昔からあるメディアで、従来的な手法として知られています。

 

現代ではインターネットが広く普及しているため、従来のようなマスメディアだけでなく、インターネットを使ったWebメディアにも注目が集まっており、PRに活用されるケースも多いようです。

 

特に注目されているのが、SNSです。SNSで多くのフォロワーを抱える拡散力が強いインフルエンサーは、発信力や影響力も強くなっています。そのため、インフルエンサーが自主的に商品やサービスを紹介するなどすると、認知度向上や売上向上につながる可能性があります。

 

広告の種類

広告は大きく2つに分けられます。1つ目は「オフライン広告」、2つ目は「オンライン広告」です。オフライン広告とは、インターネットを使わずに表示される広告全般を指します。たとえば、新聞や雑誌、テレビやラジオのCM、フリーペーパーやダイレクトメール、看板などの屋外広告、電車の中吊り広告やデジタルサイネージなどが挙げられます。

 

オンライン広告とは、インターネット上で表示される広告全般のことです。検索エンジンやSNSなどに、広告が掲載されているのを見たことがある人も多いでしょう。

 

オンライン広告にはさまざまな種類があり、検索結果画面に表示されるリスティング広告や、Webサイトに表示されるディスプレイ広告、SNSで表示されるSNS広告、メールで配信されるメール広告などがあります。

 

PRを活用するメリット

PRを活用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下で、PR活用のメリットを2つ解説します。

 

受け手の共感を生む

PRを活用することで情報の受け手、つまり社員やユーザーなどに共感を生むことが可能です。PR活動をせずにビジネスを行っている場合、どのような考え・理念で事業をしているのかがユーザーに伝わりにくくなります。また、企業としての理念を社内で共有できていない可能性もあるでしょう。

 

PR活動は、ステークホルダーとの関係構築のために行うものです。企業が掲げている理念や価値観、事業方針や社風、企業文化などを具体的な情報として発信するため、共感を生みやすいでしょう。

 

費用が発生しない

PR活動は、費用が必要になる広告とは異なり、基本的に費用がかかりません。PRは人とのつながりで情報が拡散されます。各種メディアが情報に価値を見出した場合に発信する形になるため、費用は発生しないことが特徴です。

 

企業が提供する情報に価値があるとメディアが感じて紹介するため、情報を好意的に受け取った人々の間で共感されやすくなります。PRを継続することで、費用をかけずにステークホルダーとの良好な関係構築につながるでしょう。

 

広告を活用するメリット

広告にもメリットがあります。以下では、広告を活用することで得られるメリットを2つ解説します。

 

内容や時期をコントロールできる

広告枠を買い取って情報を掲載するという形になるため、広告主の企業が掲載内容を決めることができ、届けたい情報を伝えやすくなっています。たとえば、新商品のアピールをしたい、自社の情報を伝えてブランドイメージの向上や認知拡大につなげたいなど、目的に応じた内容を自由に打ち出すことが可能です。

 

広告では、法律やガイドラインの範囲内であれば、掲載する内容や活用方法、掲載するメディアなどが自由で幅広い表現ができる、好きなタイミングで宣伝できるというメリットがあります。

 

ターゲット層へ広告でアピールできる

広告はターゲット層を絞って出稿しやすいというメリットがあります。広告メディアにはターゲティング機能があり、年齢や性別、職業や居住地域などの基本属性や、興味のあるワードなどのデータをもとにして、ターゲット層を絞り込んだ広告掲載が可能です。

 

自社が想定しているターゲットに絞って広告を表示できるため、クリック率やCV率などが想定しやすく、効果も表れやすくなります。また、ターゲットではないユーザーへは広告が表示されにくくなるため効率的な広告配信ができます。

 

PRと広告の違い

PRと広告を同じような意味合いで使っている人もいますが、両者には明確な違いがあります。ここでは、PRと広告の違いについて詳しく解説します。

 

発信者の特性が違う

PRと広告は、発信者の特性が異なります。PRと広告、それぞれの発信者の特性について表にまとめました。

 

 

 

PR

広告

発信者

メディアや一般ユーザー

企業

発信者の特性

客観的

主観的

情報のコントロール

不可能

可能

情報の伝達方法

メディアの報道や口コミなど

広告枠

 

このように、PRはメディアや一般ユーザー自らが発信するため、客観的な情報になります。一方、広告は企業が広告枠を買い取り発信するため主観的な内容になるという特徴があります。

 

また、PRではメディアや一般ユーザーが情報に価値があると思った場合に発信されるため、情報発信のタイミングや内容などのコントロールはできません。対して、広告は広告を打ち出す時期や宣伝内容などを自社で決めることができます。広告はターゲット層の絞り込みや掲載媒体なども自社でコントロールでき、自由度が高くなっています。

 

効果が出るまでの時間が違う

PRの場合は、情報が掲載されるかどうかの決定権はメディア側にあります。そのため、必ずしも掲載してもらえるというわけではありませんが、一度メディアに注目されて情報が掲載されれば、メディアからの注目度も上がり、継続的に取材されるケースもあるようです。

 

費用をかけることなくメディア露出を増やすことも可能で、即効性はありませんが継続性がある点が特徴です。

 

一方広告は、ユーザーに届けたい情報を、自社に合ったメディア上で発信でき、掲載するタイミングも自社でコントロールできます。直接的に効果を出すことができますが、広告を掲載するための掲載費用がかかります。

 

事実であるか否かが違う

PRは、メディアが中立的な立場で発信します。「報道」という形で発信するため、客観性が高く事実を情報として発信することが特徴です。

 

対して広告は、企業自身が発信したい内容、伝えたい情報を掲載したいメディアの広告枠を買い取って発信します。そのため、よくも悪くも情報の脚色が可能で、主観的な情報になりがちです。プロモーションという側面が強くなるため、事実を伝えるPRとは大きな違いがあります。

 

情報の信頼性が違う

前述したように、PRはメディアが中立的な立場で報道として情報を発信します。そのため、第三者から見た客観性の高い情報が発信されるため、脚色されることもなく信頼度が高い傾向にあります。広告はあくまでもプロモーションというイメージが強いため、企業にとって都合のよい情報と思われるケースが多く、信頼性はPRより低くなりがちです。

 

情報の拡散力が違う

PRに即効性はあまりありませんが、ユーザー間で拡散される可能性が高くなっています。そのため、興味・関心がなかった層にも情報が届きやすく、イメージ向上や好感度アップなどにつながる可能性があります。広告はターゲット層に直接的に届けられるため、即効性があります。しかし、ユーザー間で情報が拡散されることはめったになく拡散力は低めです。

 

PRと広告をミックスすることが重要

PRと広告には、特徴や性質に違いがあります。しかし、これらを全くの別物として扱い、どちらか一方だけを行えばよいという時代ではありません。

 

近年では、ネイティブ広告や記事広告が主流となっていますが、これらはPRと広告の特徴を上手くミックスさせた手法です。PRの特徴でもある客観性と信頼性、広告のメリットであるコントロールしやすいという点を組み合わせたもので、双方のメリットを活かして情報を届けられます。

 

まとめ

PRと広告は、発信者の特性や特徴などに違いがあります。PRと広告は似て非なるものではありますが、現在は両者を組み合わせたネイティブ広告や記事広告などもあるため、上手くミックスさせて自社アピールに活用しましょう。

 

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